重度障害者意思伝達装置の支給と利用支援を包括するコミュニケーション総合支援施策の確立に関する研究
表題のような研究報告がWebで紹介されました。
重度障害者意思伝達装置の支給と利用支援を包括するコミュニケーション総合支援施策の確立に関する研究
これは厚生労働科学研究費補助金を受けての研究です。本来なら3月末で研究が終了する予定だったそうですが,協力機関が震災の被災を受けることになり,研究機関を延長し9月末まで研究が延長したそうです。
ここであげられている重度障害者というのは主にALSの患者さんですが,意思伝達装置を支給する上での課題,その後のフォローアップをどうするかといったことは特別支援学校の子どもさんへのコミュニケーション支援機器の適用についても参考になるものです。
本報告では
コミュニケーション支援としての意思伝導入は、補装具費の支給という装置入手の支援から、継続的に利用していくための支援者の確保・派遣にシフトしていくことが、必須課題であると考える。
ということが結論として書かれています。
アシスティブテクノロジーの定義にアシスティブテクノロジーディバイスとアシスティブテクノロジーサービスの2つがあり,前者の支援機器そのものだけでなく,後者のそれをどのように提供し,どのようにサポートするかがここに書かれている内容と符合していると感じます。
また,機器の適用には本人の状態によって変化していくことからレンタルなどの方法も検討されるとしていますので,学校現場だと,ご家庭で機器を買う前に「使えるかどうか」「使う練習」として,ある程度機器を揃えて、練習したり,場合によっては使う機器を交換したりなどフレキシブルに対応することが大切なのだろうと思います。
そのためにも,しっかりと個別の指導計画に載せることや,適合のために相談出来る教員が必要です。
また,上記の報告では
「継続利用の支援」の1つとしてスイッチ適合以降の対応として、「ITサポート」をあげた。 このうち、「カスタマイズ」や「初期導入」については、IT支援にとどまるものではなく、コ ミュニケーション確保(保障)のための支援であり、手話通訳者や要約筆記者の派遣同様に「コミ ュニケーション支援事業」の対象になりえると考える。ただし、手話通訳者や要約筆記者同様に、 派遣費用の公費負担を求めるのであれば、一定の資格の担保も必要といえる。
としており,支援者をどのように確保し,その資格をどのように担保するかといったことが述べられています。
学校現場での支援機器の適用でいうと,現在熊本大学に行っている大杉さんがアシスティブテクノロジーコンシダレーションに「福祉情報技術コーディネーター」などの資格を持った教員等が支援機器の適用場面で関わることについて言及しています。今後,ICT支援員などが学校に入ってくるでしょうが,そういった人や自立活動専任,特別支援教育コーディネーターなどが「福祉情報技術コーディネーター」の資格を有するというのも考えられると思います。
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学校現場における支援機器の支給体制についても,これに習って整理したいです。
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