支援機器活用について学ぶ意味と普及における壁
いつもお世話になっている玉川大学の堀田先生がやられている学校教材活用指導法研究会というところの紹介文句を見ていたら。これって少し変えると「支援機器活用について学ぶ意味」になりそうだなと思って,以下の文章を作りました。(堀田先生ごめんなさい)
「VOCAやスイッチは,全国の特別支援学校で活用されています。
でも不思議なんです。VOCAを授業中に使っていますか?
その場合は,授業のいつ頃,どのぐらい使いますか?
そもそもVOCAの使い方を子どもたちに教えていますか?ベテランの先生方にとっては当然の営みが,
若手の先生方にとっては不安の材料になっています。
どうしてベテランのノウハウが若手に伝わっていないのでしょうか。
いや,実はベテランの先生方も,何となくやっているだけで,
なぜそのような方法にしているかを説明できないのではないですか?子どもたちのコミュニケーションをVOCAやスイッチが支えていることがあります。
これらの支援機器の活用法は,研究授業で取り上げられることもありません。
私たちは,これまであまり明示されていなかった支援機器の活用法について,
「見えていなかったことが見えるようになる」ことを目標に検討を進めてきました。今や,iPadが教室で活用される時代です。
そんな教室環境を前提に,支援機器を有効に活用した授業システムを確立させ,コミュニケーションする力を身に付けた子どもたちを育てたい。」
facebookに書いたら,けっこう受けが良かったのでこちらにも転記しました。
そうしたら以下のような反応もありました。
「支援機器を用いることで、本人がそれに頼るようになり、自分で考えなくなる」という考えや、「支援機器を知っていても金銭上で用意できない」都合など、進められない現状があります。そこを打破するには、興味がある人が、自腹をきり、進めるしかありません。
たとえ、概念が理解されても、自腹で用意するというところに抵抗がある方も当然いらっしゃいます。
迷いもあります。
たとえば、「iPodTouch」で歯磨きのアプリを見せて、意欲的に取り組んでいる姿があったとしても、「アプリがなければ自分で歯磨きをすることは低下するじゃないか」という考えが、まわりにも払拭されず、また、それをフェードアウトすることも必要なのかどうかも自分にもはっきりせず、根本で迷いがあります。
必要があればアナログだろうとデジタルだろうと道具を使えばいい。必要がなくなればはずせばいい。それが基本ではあるので、そんなに迷わなくてもいいのでしょうが。
本当にそうですね,なかなか理解されない現状があります。
とてもむずかしいところですし,支援機器のむずかしいところは道具を使えるようにするための予算措置や保護者にいかに買ってもらえるようにするか,という課題があります。
これについては,以下のようなお答えを書きました。
いろいろな考えはあるでしょう。
ただし,大切にしないといけないのは「仲間」を作ることです。
賛同して下さる人は教員,保護者を含め必ずいるはずです。
そういった人たちを大切にして下さい。
「抵抗をする人」を考えるのではなく「理解してくれる人」を大切にすること。
そうすれば,必然的に広まってきます。
これは,支援機器だけでなく特別支援教育そのもの,そして障害者理解や人間理解にも通じる事だと思っています。
研修の時に使う話に「普及率16%の論理」というのを紹介することがあります。
イノベーター理論というやつで
i以下のように分けられます。
イノベーター2.5%「冒険的で最初に革新的な事を行う人」
オピニオンリーダー13.5%「自ら情報を集め,判断を行える人」
アーリーマジョリティー34%「すでに採用を子おこなっている人に相談して追従的に行う人」
レイトマジョリティー34%「情報に疑り深くは世の中の普及状況を見て模倣的に採用する人」
ラガード16%「もっとも保守的で革新的なものには最後に採用する人」
イノベーターやオピニオンリーダーは早くから付いてきますので,そんなに困りませんが,大切なのはその後のアーリーマジョリティーにどうつなげるか。
そこまで広げることが大切だと思っています。
逆に最後まで抵抗するラガードを気にしすぎては進まないと思います。
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支援機器も,特別支援教育もぜひこのアーリーマジョリティーに広がることかなと思っています。
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